実家を売るか・貸すか・残すか|選択肢を整理して私が出した結論
父が亡くなり、実家が空き家になった。
母は特養ホームに入所していて、兄弟もいない。つまり、誰も住まない一軒家が突然、私の手元に残された。
「どうしよう」と思いながら半年が過ぎた。その間に調べたこと、考えたこと、そして最終的に出した結論をこの記事にまとめる。同じように「実家をどうするか」で悩んでいる人の参考になれば。
選択肢は3つだけ
実家の処分方法は、突き詰めると3択しかない。
- 売る(売却)
- 貸す(賃貸)
- 残す(維持・保有)
それぞれにメリット・デメリットがある。順番に整理していく。
①売る:一番シンプルだが、後戻りできない
メリット
- まとまった現金が入る
- 固定資産税・維持管理費がゼロになる
- 精神的に「終わった」と区切りをつけられる
- 空き家問題から完全に解放される
デメリット
- 売ったら二度と戻れない
- 売却にかかる費用(仲介手数料・解体費など)が発生する
- 相続後3年以内に売れば税制優遇があるが、条件がある
- 思い入れがある場合、後悔する可能性がある
売却にかかるリアルな費用感
仲介手数料は売却価格の3%+6万円(税別)が上限。2,000万円で売れた場合、手数料だけで約66万円。
建物を解体してから売る場合、木造一戸建ての解体費用は100〜200万円が相場。解体すると「更地」になり固定資産税が上がる(住宅用地の特例が外れるため)点も注意。
「3,000万円特別控除」の落とし穴
相続した空き家を売る場合、「空き家の3,000万円特別控除」が使える場合がある。ただし要件が細かく、
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと
- 相続開始直前まで被相続人が一人で居住していたこと
- 相続から3年が経過する日の属する年の12月31日までに売ること
などの条件がある。また、2023年の税制改正で要件が一部緩和されています。詳細は国税庁のウェブサイトまたは税理士にご確認ください。思い込みで「使えると思っていた」と後から気づくケースが多いため、事前確認を強くすすめる。
②貸す:収入は得られるが、管理の手間がかかる
メリット
- 毎月家賃収入が入る
- 建物を維持できる(空き家より劣化が遅い)
- いつでも売却に切り替えられる(借主がいなければ)
デメリット
- 借主がつかない可能性がある(築古・地方は特に)
- リフォーム費用が先行投資として必要になることが多い
- 借主が退去しない・家賃を払わないなどのトラブルリスクがある
- 管理会社に委託すると家賃の5〜10%が手数料としてかかる
「貸したら売りにくくなる」問題
借主がいる状態でも売却自体は可能だが、買い手が投資家に限られるため希望価格では売りにくくなる。「まず貸して、後で売ろう」という考えは成立するが、自分が思うタイミングで売れない可能性がある点を頭に入れておく必要がある。
実家を貸す前に確認すること
- 築年数・耐震基準(1981年以前の建物は旧耐震基準)
- 給排水・電気・ガスの状態
- 近隣の賃貸相場(賃貸需要があるかどうか)
築古の戸建てで賃貸需要が低いエリアの場合、リフォームしても空室が続くリスクがある。無理に貸すより売った方が合理的なケースも多い。
③残す(維持・保有):コストがかかり続ける選択
メリット
- 決断を先送りにできる
- 思い出の家を手元に置いておける
- 将来、自分や家族が使う可能性が残る
デメリット
- 固定資産税が毎年かかり続ける
- 建物の劣化・老朽化が進む
- 草木の管理・近隣への配慮が必要
- 空き家と認定されると「特定空き家」に指定されるリスクがある
「特定空き家」に指定されるとどうなるか
管理が行き届いていない空き家は、市区町村から「特定空き家」に指定される可能性がある。指定されると、
- 住宅用地の固定資産税特例が外れ、税額が最大6倍になる
- 行政から改善勧告・命令が出る
- 最終的に行政代執行(強制撤去)される
放置が最もリスクの高い選択肢であることは覚えておきたい。
3択の比較表
| 売る | 貸す | 残す | |
|---|---|---|---|
| 現金収入 | ◎(一括) | ○(毎月) | ✕ |
| 維持コスト | ◎(ゼロ) | △(管理費) | ✕(固定費継続) |
| 手間 | △(売却手続き) | ✕(管理・トラブル) | △(維持管理) |
| リスク | △(後戻り不可) | △(空室・トラブル) | ✕(劣化・特定空き家) |
| 将来の選択肢 | ✕(なし) | △(制限あり) | ○(残る) |
私が出した結論:売ることにした
半年間悩んで、売ることを選んだ。
理由は3つ。
1. 賃貸需要がない立地だった
最寄り駅から徒歩25分、築40年の木造一戸建て。地元の不動産屋に相談したところ、「貸せなくはないが、リフォームに200万円かけても月5万円取れれば良い方」という回答だった。利回りを考えると割が合わない。
2. 維持管理を続ける自信がなかった
私は実家から車で2時間の場所に住んでいる。草刈り・換気・近隣対応を定期的にこなし続ける自信が、正直なかった。
3. 区切りをつけたかった
これが一番大きかったかもしれない。実家を持ち続けることで、気持ちの整理がつかないでいた。売ることで「次の章」に進める気がした。
売却を決めてからやったこと
- 不動産会社3社に査定依頼(一括査定サービスを利用)
- 最も高い査定額を出した会社と媒介契約
- 建物のまま売却(解体費用を抑えるため)
- 売却完了まで約4ヶ月
査定額には200万円以上の差があった。必ず複数社に依頼することをすすめる。
決め方がわからない人へ:3つの質問に答えてみて
1. その家に、将来自分や家族が住む可能性はあるか?
→ ないなら「残す」は消える
2. その立地に賃貸需要があるか?
→ 不動産屋に無料で聞けばわかる
3. 維持管理を継続的に担える状況か?
→ 遠距離・高齢・多忙なら管理は難しい
この3つを整理するだけで、かなり答えが見えてくる。
まとめ
実家をどうするかに「正解」はない。立地・建物の状態・家族構成・感情的な事情、すべてが人によって違う。
ただ、何もしないこと(放置)だけは最善手ではない。維持コストと劣化リスクが静かに積み上がっていく。
まず不動産会社の査定と、相続関係の書類整理から始めてみてほしい。動き始めると、意外と道は見えてくる。
※この記事は私の実体験をもとにしています。税務・法律の詳細については専門家にご相談ください。
