令和8年版 米国株・日本株の配当金 確定申告
【令和8年版】米国株・日本株の配当金、確定申告で「得する人・損する人」の決定的な違い
1. 導入:あなたは配当金の税金を「払いすぎ」ていませんか?
「特定口座(源泉徴収あり)を選んでいるから、確定申告は自分には関係ない」——そう考えて、大切なお金を証券会社に預けっぱなしにしていませんか?
確かに、特定口座を利用すれば納税は自動で完結し、申告の義務もありません。しかし、利便性の代償として、本来払う必要のない税金を「払いすぎ」ている投資家が数多く存在するのが実情です。
令和8年(2026年)に行う確定申告(令和7年分所得)は、制度改正によって税金を取り戻せる「還付」のチャンスが例年以上に広がっています。数万円、時には十数万円の還付金を手にするのは、単なる事務作業ではなく、立派な「投資活動」の一環です。親しみやすさと専門的な視点を持って、あなたが今年「得する人」になれるかどうかの境界線を解き明かしていきます。
2. 衝撃の事実:基礎控除の大幅アップが「還付金」を増大させる
今回の申告における最大の注目点は、「基礎控除」および「給与所得控除」の引き上げです。これらは所得から差し引ける金額を増やすため、直接的に還付額を押し上げる要因となります。
まず、多くの投資家が対象となるモデルケース(給与収入500万円・配当103万円程度の場合)では、基礎控除が従来の48万円から20万円もアップし、68万円となります。
基礎控除は去年より20万円増え68万円になります。所得税率が20%だとすると、それだけで4万円の税負担が減ります。
さらに、年収が低い層(190万円まで)への配慮もあり、給与所得控除が65万円まで引き上げられるなど、低中所得層にとって極めて有利な改正となっています。
ただし、注意点があります。この基礎控除の増額幅は一律ではなく、所得金額(モデルケースでは合計所得336万円〜489万円)によって変動します。ご自身の所得ランクを正しく把握することが、還付戦略の第一歩です。
3. 「総合課税」vs「分離課税」:住民税の罠を見抜く分析
確定申告で最も戦略的な判断を求められるのが、課税方式の選択です。ソース資料のシミュレーション(年収500万円)では、以下の顕著な差が出ています。
- 総合課税を選択: 還付金 約11.2万円
- 分離課税を選択: 還付金 約4.7万円
一見すると、6.5万円もの差がある「総合課税」が圧勝に見えます。しかし、ここには専門家が警鐘を鳴らす**「住民税の罠」**が隠されています。
なぜ「総合課税」が有利なのか
日本株の配当がある場合、「総合課税」でしか受けられない**「配当控除」**が適用されます。所得税率が低い層にとっては、この控除によって税金が劇的に戻ってくるのです。
見落とし厳禁:住民税率の差
ここが最大の分析ポイントです。
- 分離課税の住民税: 一律5%
- 総合課税の住民税: 一律10%(※厳密には国内配当は7.2%ですが、概算として10%で計算)
総合課税を選ぶと、所得税の還付金は増えますが、後から請求される**住民税が2倍(5%→10%)**になるリスクがあります。前述の6.5万円の還付差額と、追加で支払う住民税の額を天秤にかけ、差額の方が大きければ総合課税を選ぶべきです。モデルケースでは総合課税が有利となりますが、日本株の保有比率が低い場合は分離課税の方がトータルで得をするケースもあります。
4. 米国株ホルダー必見:二重課税を解消する「外国税額控除」の魔法
米国株投資家にとって、確定申告は「必須科目」です。米国株の配当には、現地で10%が引かれ、さらに日本国内で約20%が引かれる「二重課税」が発生しているからです。
この10%分を取り戻す手段が**「外国税額控除」**です。
- 分離課税を選んでも適用可能: 日本株の配当控除とは異なり、分離課税を選択した場合でもこの控除は利用できます。
- 損益通算との併用: 他の口座で「譲渡損(マイナス)」が出ている場合、配当金と相殺する**「損益通算」**を行いながら、さらに外国税額控除を重ねることで、手元に残る利益を最大化できます。
特定口座の「源泉徴収あり」ではこの10%分は自動で還付されないため、自ら申告しない限り、この税金は永遠に失われたままとなります。
5. 罠に注意:社会保険料が「上がる人」と「上がらない人」の境界線
還付金に目を奪われて忘れてはならないのが、社会保険料への影響です。確定申告で配当を「所得」としてカウントすると、住民税の計算基礎となる合計所得が増えるためです。
- サラリーマン(社会保険加入者): 勤務先の社会保険料は給与額に基づいて決まるため、配当をいくら申告しても保険料は上がりません。 積極的に還付を狙うべきです。
- 自営業・フリーランス(国民健康保険加入者): 配当所得が加算されることで、翌年の保険料が値上がりするリスクがあります。
国民健康保険の方は、「所得税の還付金 > 住民税と保険料の増加分」という計算式が成り立つか、事前シミュレーションが不可欠です。
6. 最短ルートで完了:e-Tax準備のチェックリスト
令和8年の確定申告(令和7年分所得)をスムーズに終わらせるために、証券会社のマイページから以下の「年間取引報告書」を確保しましょう。
- 源泉徴収票: 勤務先から入手。
- 特定口座年間取引報告書: 以下の項目を確認してください。
- 4番: 株式等(日本株)の配当金額
- 8番: 国外株式(米国株等)の配当金額
- 18番: すでに徴収された所得税(左側)と住民税(右側)
- マイナンバーカードとスマートフォン: e-Taxの認証に必須です。
【操作のコツ】 e-Tax作成画面では、まず「令和7年分」の所得税申告書を選択します。楽天証券なら「マイメニュー」の「取引報告書・電子書面」、SBI証券なら「口座管理」の「電子交付書面」からPDFを入手し、記載された数値を画面の指示に従って転記するだけで、自動計算が行われます。
7. 結論:賢い投資家は「税金」までをデザインする
確定申告は、面倒な「事務手続き」ではありません。投資における最終的な利回りを決定づける、最も確実性の高い「出口戦略」です。
令和8年版の改正は、基礎控除の引き上げという強力な追い風を投資家にもたらしています。特定口座に全てを委ねるのではなく、自分にとって「総合課税」と「分離課税」のどちらが最適か、そして社会保険料への影響はどうなるかを自らデザインしてください。
制度を知っているか、そして行動するか。そのわずかな差が、数万円の現金の差となってあなたの口座に現れます。
あなたは今年、いくらの税金を取り戻せる準備ができていますか?
